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2012年4月 4日 (水)

乳癌の幹細胞発見、再発防止に朗報


乳癌は、乳腺にできる癌なのだが、局所にできた癌を摘出しても、やがて骨、肝臓、肺、脳、胸壁、リンパ節、温存乳房などに乳癌が発生してくる。これを乳癌再発と呼んで恐れられている。

温存乳房や胸壁におきた再発を局所再発、リンパ節の再発を領域再発、骨、肝臓、肺、脳などにおきた再発を全身再発あるいは遠隔転移という。

局所再発、領域再発は、治療により根治可能なことがあるが、遠隔転移をきたした場合、治癒することはほぼ無いと考えられている。

遠隔転移後の平均生存期間は1.5ー2年である。しかし2ー3%は5年以上生存する可能性があり、稀には10年以上長期生存の報告もある。

初回治療から転移までの期間が長い場合、ホルモン受容体が陽性の場合、骨転移の場合では、転移後の生存期間が長い傾向がある。

転移の75%は初回治療後(手術後)5年以内におきるが、10年ー15年後の転移もある。

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つまり乳癌に罹患すると、摘出術後10年経っても乳癌再発によって、苦しむ可能性があるということになる。それで、これを何とかしたいというのが、医師の昔からの願いだった。

その乳癌再発が防止できるかもしれないという発見がなされた。その記念すべき報道をお目に掛ける。

ーーー以下少々編集qazx

【読売新聞4/3】乳がん再発、完全防止の可能性…「幹細胞」解明

東京大学の後藤典子・特任准教授と日野原邦彦・特任助教らが、乳癌の「幹細胞」が、体内で増殖する仕組みを、明らかにした。

この幹細胞を狙って根絶することで、乳癌の再発を完全に防げる可能性が出てきた。

乳癌治療として一般的に行われている処置は、外科的に切除するか、抗癌剤投与や放射線照射で癌細胞を死滅させることだ。

しかし、これらの治療の多くは不十分で、乳癌細胞を生み出す幹細胞が残る。そのため、患者は再発の危険性におびえて暮すこととなる。

研究班は、乳癌に含まれる幹細胞が、塊を作って増殖することに注目。その増殖の引き金が、幹細胞表面にタンパク質の一種であるヘレギュリンHRGが結合することであることを突き止めた。

幹細胞は、幹細胞にHRGを結合させることで、増殖に必要な複数のたんぱく質を作り、増殖していることがわかった。

従って、乳癌患者における、血中のHRGや増殖に必要な複数のたんぱく質を作れなくすることで、根治できる可能性が出てきたことになる。

また血中に増えるそれらのタンパク質の量を測定することで、癌を早期に発見したり、再発を早期に見つけることができると考えられ、期待されている。

この成果は米科学アカデミー紀要に発表される。

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東京大学の解説

乳癌は女性で最も頻度が高い癌であり、我が国における発生頻度、死亡率は著しく増加している。近年の研究から、がん発生の元となるがん幹細胞の存在が明らかとなっており、がん研究に大きなパラダイムシフトが起きている。

がん幹細胞は、がん組織のうちごく一部の細胞集団であるが、従来の抗がん剤や放射線治療によって、がん幹細胞は死滅されにくいため、転移や再発の原因になる。そのために、癌は未だに不治の病である。

がんを根治に導くためには、がん幹細胞をターゲットとした治療法の開発が必要である。しかし、がん幹細胞が生体内に棲み付く仕組みが明らかでないため、がん幹細胞をターゲットとする治療法は、確立されていない。

東京大学医科学研究所の後藤典子/特任准教授と日野原邦彦/特任助教らは、がん幹細胞がスフェアという直径100μm程度の球状浮遊細胞塊を形成し、培養皿で培養できることに着目した。1204031_2   

乳がんの手術摘出検体から得られた細胞を使ってスフェアを形成するための条件を詳細に調べた結果、細胞膜に存在するEGF受容体ファミリーのひとつErbB3受容体に、リガンドとしてくっつくHRG(heregulin:へレギュリン)がスフェア形成を促進することを見いだした。

また、HRGがErbB3受容体にくっつくと、細胞内リン酸化酵素であるPI3-kinaseとAktが活性化し、転写因子であるNF-κBを活性化して、スフェアを形成することがわかった。

つまり、乳がん細胞内で、HRGからErbB受容体を介して、PI3-kinase、Aktの活性化が起こり、NFkBの転写活性化を促進する一連のシグナル伝達経路が活性化することがわかった。

このErbB-NFkB経路の活性化により、乳がん幹細胞が幹細胞の特徴である自己複製能を維持しつつ、生体内に棲みつくことがわかった。

さらに、HRGにより活性化したNF-κBは、IL-8(インターロイキン8)などを始めとする様々なサイトカイン、ケモカイン、血管新生因子などの産生を促すことが明らかになった。

これらの蛋白質は細胞外に分泌し、がん幹細胞を取り巻く微小環境「がん幹細胞ニッチ」を熟成させ、がん幹細胞が棲みやすい環境をつくることに働くと考えられる。1204032

今回新たに発見した、ErbB-NFkB経路に関わる分子は、がん幹細胞の分子標的として、がんを根治しうるターゲットとなる。

さらに、この経路によって産生される細胞外分泌蛋白質は、採血した血液の中に存在する。

これら蛋白質の血中での量を測定することにより、がんを早期に発見したり、再発を早期に見つける診断マーカーとして有用であると考えられる。

なお本研究は、コニカミノルタテクノロジーセンターとの共同研究による成果である。

ーーーまとめると

つまり、乳がん細胞内で、HRGからErbB受容体を介して、PI3-kinase、Aktの活性化が起こり、NFkBの転写活性化を促進する一連のシグナル伝達経路が活性化することがわかった。

従って、今回新たに発見した、ErbB-NFkB経路に関わる分子は、がん幹細胞の分子標的として、がんを根治しうるターゲットとなる。

さらに、この経路によって産生される細胞外分泌蛋白質は、血液中に存在し、これら蛋白質の測定結果は、がんを早期に発見したり、再発を早期に見つける診断マーカーとして有用であると考えられる。

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